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リール作家のひとりごと  第2話 [読み物]

破傷風のワクチン接種を受けてきました。
8~9年ぶりです。 注射の針はともかく、液がドロンとしているので、けっこう痛いんだな。 

さて、前回の続きです。 

○素材の話
かつてのリールを再現するとなると、社会をとりまく情勢を無視することはできません。特に、技術革新は当時とは大きな差となります。先に触れましたが、現在ではマシニングセンタで加工しますので、かなりの部分をコンピュータに仕事をさせています。少なくとも、かつてはこういったことはなかったでしょうね。


ともあれ、幸いと言いましょうか、個人でリールを作る場合は、当時と加工する道具の差はほとんどないので、再現性という点では良いでしょうね。しかし、それ以前の問題で当時と同じにできない部分があるのです。それは、かつてのアンティークリールに使われている素材の問題です。オリジナルは、洋白(ニッケルシルバー)や真鍮(ブラス)、青銅(ブロンズ)などのいわゆるイロモノ(銅合金)が多用されています。これらの品物は、比重が7~8と非常に重い素材です。そしておなじみのハードラバー(エボナイト)も使われています。当時の時代背景を考えると、当然強度のあるアルミ合金などは存在せず、あったとしても飛行機などの最先端技術(いわゆる戦争の道具ですね)に利用され、一般にはあまり回ってこなかったと思います。ハーディーの一部のリールでは、当時の戦闘機のスピットファイヤのエンジンブロックを鋳つぶして作ったなんて逸話も残っていますね。同様に、樹脂についても一般的でなく、ハードラバーはベークライトやセルロイドと並んで新しい素材であったように思えます。そんなことから、重いイロモノのリールを軽くするために、エボナイトを使ったと思えてしまうのは私だけでしょうか?今風に言えば、「夢の新素材チタンでリールを作りました」とよく似た現象だったのではないかと考えられなくもないのです。
現在のリールスミスであるテッド ゴドフリーも、氏のHPでブラックアルマイトのプレートを用いる理由を述べておりますが、一部ですが、ボクも賛同します。
かつてより豊富な材料の中から、自分の納得するものを選んで仕上げていくということで良いように思います。もちろん、選んだ素材がエボナイトってのも当然アリですけどね。そうでないものを否定する必然性はないと思うわけです。


○作家の許されない言い訳(戒め)
ただ、どうしてもフライリールの場合は懐古趣味のような部分があり、それを良しとする傾向がある・・・・いや、そういった道具やスタイルで釣りを行うことが楽しみ方の一つになっていると言えるでしょう。実のところ、ボクもその一人であると言えますがね。確かに、今となっては、エボナイトの利用されるものといえば、万年筆や楽器程度しかなくなりましたので、あまり目には触れなくなってきています。
言い方を変えれば、その素材自体が珍しくなってきてはいると思います。貴重であるとか、ちょっと珍しい素材をふんだんに使ってあれば価値があるのか・・ボクはへそが曲がっているせいか、そうは思えません。ボクとしては、その素材を用いる必然性があるかどうかが重要だと考えます。そんなわけで、ハードラバーが機能的に優れているからリールに使われているのではなく、質感などの「雰囲気を持っているから」なのだと思うのです。そう考えていくと、ハードラバーやブラスなどの素材自体に価値があるとはとても思えないわけです。

ここからは個人的な問題になります。これは、ボクが自分の甘えを戒めるための事柄でもあるのですが・・・。作家の都合でいろいろ付加価値を付けるのはいかがかと思っています。加工が困難であるから貴重なんてのはどうでしょうかねえ~。設計なり、素材なりでそれを選んだのは作家自体なのです。加工しにくいとか手間がかかるとかの言い訳は、ユーザーには関係ないことですよね。

一番問題なのは、加工が大変だと嘆くのは良いですけど、もしかしたら、それに手間をかけているのは、世界中で自分だけかもしれないじゃあないですか。そんな状態だったら、加工が困難だから価値ありって言うのは・・・恥ずかしかもしれませんねえ。このへんは、是非とも人に言ってもらいたいですなあ~。

そんなわけで、ボクはあくまでも自己都合の泣き言と、この手の事柄については位置づけています。
残念ながら、泣き言はたくさんあります・・・・。

ということで、第3話につづく 

 

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