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リール作家のひとりごと  第3話 [読み物]

本日は、第3話でありますが、ひとまず、今回で完結させていただきます。
なお、次作は別のテーマでアップしたいと思います。

 

○リールスミスの亡霊
 かつて、19世紀末から20世紀前半に活躍したリール作家たちは、ある意味ボクの目標であり、お手本であります。

 フライリールはデザインができあがって100年経過したと言われるように、このころのリールスミスの作品は、現在でも通用する美しさを持っているとボクは思います。ただ、モノがシンプルなために、デザインの幅が少ないという問題点もあるのですが・・・。


 いままでこのブログでご紹介したとおり、リールを作り始めて、自分があまりに無知であったことを知り、それから様々な資料を集めて、今更ながら研究をはじめました。
作者と作品の詳細だけでなく、時間の流れも把握すると、なにかが見えてきたように思えました。
ボンホフファミリーやメイセルバック、フルーガーなどのアメリカンリール、そしてハーディー、オービスなどなど・・・。そして、忘れていけないのが、フライに限らず一緒に進化してきたリール群で、アメリカではキャスティングリール、ヨーロッパではスピニングリールであった作品たちです。少なくとも、目標としてじゅうぶんであると思われました。

 

しかし、自分で、これらのリールを作ってみると、あることに気がつきました。
たとえば、バーミンガムスタイルで、ハードラバー+リム、S字ハンドルのリールを作ったとしましょう。もう、この手のリールは、エドワードボンホフの手によるピアレスやパーフェクション風のものになるというのは、皆さんの想像の通りだと思います。ボクも、すでにこの手のリールは一つのジャンルになっていて、コピーとは違う世界であると思うのです。

しかし、実際にデザインをしたり、加工をしたりしていると・・・・探しているんです。オリジナルと違う部分を・・・・。気づかないうちに、自分でオリジナルを決めて、それに近づけることを目標にしている・・・。自分としては、コピーするつもりはなかったはずなんですが、気をつけないとここにはまってしまいます。

その時、いるんですよ亡霊が。かつてのリールスミスの亡霊。

おそらくそれは「ボクの心の中」に住んでいて、ふとしたきっかけで現れるやっかいな存在には違いありません。もうこうなると非常にやっかいで、どれを見ても「違うところが見えて、気になってしまう」ようになります。必ず見本を探します。こうなってくると、なかなか自分のデザインができなくなってしまって、亡霊を振り切るかのように余計なモノを着けたり、奇抜なデザインに走ってみたり・・・。となってしまう危険性があるように思えます。
リールなんぞを作っていると、ただでさえ、丸いモノを見るだけでフライリールに見えてしまうこともしばしばあるわけですから、フライリールだけを見ているのは広がりがないように思えてきます。そんなこともあり、いろんな刺激を受けられるよう、他の世界ものぞきに行くのも重要だと考えていまして、ようやく、実行に移せるようになってきました。

 

○最後に
長くなりましたが、先人の残した作品はもう手に入りません。かつての素材よりも恵まれた材料で作成される場合も多いでしょう。ボクはそれらを一切否定しませんし、ある意味必要枠であるとさえ思います。問題なのは、作成者本人の気持ちの持ち方で、レプリカモデルも作れるリール作家になるのか、ただの贋作家になるのかは、自分の考え方次第できまるのではないでしょうか。
そして、自分のデザインし、オリジナリティーあふれる品物で勝負ができるということが、現代のリールスミスとしての存在価値である。と、ボクは信じて疑いません。


松尾芭蕉の名言に戻りますが、ボクとしては、先人の作品の姿を欲しがるのでなく、先人の欲したところを知ることが重要なのだと思っています。

 

 

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