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リール作家のひとりごと  第3話 [読み物]

本日は、第3話でありますが、ひとまず、今回で完結させていただきます。
なお、次作は別のテーマでアップしたいと思います。

 

○リールスミスの亡霊
 かつて、19世紀末から20世紀前半に活躍したリール作家たちは、ある意味ボクの目標であり、お手本であります。

 フライリールはデザインができあがって100年経過したと言われるように、このころのリールスミスの作品は、現在でも通用する美しさを持っているとボクは思います。ただ、モノがシンプルなために、デザインの幅が少ないという問題点もあるのですが・・・。


 いままでこのブログでご紹介したとおり、リールを作り始めて、自分があまりに無知であったことを知り、それから様々な資料を集めて、今更ながら研究をはじめました。
作者と作品の詳細だけでなく、時間の流れも把握すると、なにかが見えてきたように思えました。
ボンホフファミリーやメイセルバック、フルーガーなどのアメリカンリール、そしてハーディー、オービスなどなど・・・。そして、忘れていけないのが、フライに限らず一緒に進化してきたリール群で、アメリカではキャスティングリール、ヨーロッパではスピニングリールであった作品たちです。少なくとも、目標としてじゅうぶんであると思われました。

 

しかし、自分で、これらのリールを作ってみると、あることに気がつきました。
たとえば、バーミンガムスタイルで、ハードラバー+リム、S字ハンドルのリールを作ったとしましょう。もう、この手のリールは、エドワードボンホフの手によるピアレスやパーフェクション風のものになるというのは、皆さんの想像の通りだと思います。ボクも、すでにこの手のリールは一つのジャンルになっていて、コピーとは違う世界であると思うのです。

しかし、実際にデザインをしたり、加工をしたりしていると・・・・探しているんです。オリジナルと違う部分を・・・・。気づかないうちに、自分でオリジナルを決めて、それに近づけることを目標にしている・・・。自分としては、コピーするつもりはなかったはずなんですが、気をつけないとここにはまってしまいます。

その時、いるんですよ亡霊が。かつてのリールスミスの亡霊。

おそらくそれは「ボクの心の中」に住んでいて、ふとしたきっかけで現れるやっかいな存在には違いありません。もうこうなると非常にやっかいで、どれを見ても「違うところが見えて、気になってしまう」ようになります。必ず見本を探します。こうなってくると、なかなか自分のデザインができなくなってしまって、亡霊を振り切るかのように余計なモノを着けたり、奇抜なデザインに走ってみたり・・・。となってしまう危険性があるように思えます。
リールなんぞを作っていると、ただでさえ、丸いモノを見るだけでフライリールに見えてしまうこともしばしばあるわけですから、フライリールだけを見ているのは広がりがないように思えてきます。そんなこともあり、いろんな刺激を受けられるよう、他の世界ものぞきに行くのも重要だと考えていまして、ようやく、実行に移せるようになってきました。

 

○最後に
長くなりましたが、先人の残した作品はもう手に入りません。かつての素材よりも恵まれた材料で作成される場合も多いでしょう。ボクはそれらを一切否定しませんし、ある意味必要枠であるとさえ思います。問題なのは、作成者本人の気持ちの持ち方で、レプリカモデルも作れるリール作家になるのか、ただの贋作家になるのかは、自分の考え方次第できまるのではないでしょうか。
そして、自分のデザインし、オリジナリティーあふれる品物で勝負ができるということが、現代のリールスミスとしての存在価値である。と、ボクは信じて疑いません。


松尾芭蕉の名言に戻りますが、ボクとしては、先人の作品の姿を欲しがるのでなく、先人の欲したところを知ることが重要なのだと思っています。

 

 

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リール作家のひとりごと  第2話 [読み物]

破傷風のワクチン接種を受けてきました。
8~9年ぶりです。 注射の針はともかく、液がドロンとしているので、けっこう痛いんだな。 

さて、前回の続きです。 

○素材の話
かつてのリールを再現するとなると、社会をとりまく情勢を無視することはできません。特に、技術革新は当時とは大きな差となります。先に触れましたが、現在ではマシニングセンタで加工しますので、かなりの部分をコンピュータに仕事をさせています。少なくとも、かつてはこういったことはなかったでしょうね。


ともあれ、幸いと言いましょうか、個人でリールを作る場合は、当時と加工する道具の差はほとんどないので、再現性という点では良いでしょうね。しかし、それ以前の問題で当時と同じにできない部分があるのです。それは、かつてのアンティークリールに使われている素材の問題です。オリジナルは、洋白(ニッケルシルバー)や真鍮(ブラス)、青銅(ブロンズ)などのいわゆるイロモノ(銅合金)が多用されています。これらの品物は、比重が7~8と非常に重い素材です。そしておなじみのハードラバー(エボナイト)も使われています。当時の時代背景を考えると、当然強度のあるアルミ合金などは存在せず、あったとしても飛行機などの最先端技術(いわゆる戦争の道具ですね)に利用され、一般にはあまり回ってこなかったと思います。ハーディーの一部のリールでは、当時の戦闘機のスピットファイヤのエンジンブロックを鋳つぶして作ったなんて逸話も残っていますね。同様に、樹脂についても一般的でなく、ハードラバーはベークライトやセルロイドと並んで新しい素材であったように思えます。そんなことから、重いイロモノのリールを軽くするために、エボナイトを使ったと思えてしまうのは私だけでしょうか?今風に言えば、「夢の新素材チタンでリールを作りました」とよく似た現象だったのではないかと考えられなくもないのです。
現在のリールスミスであるテッド ゴドフリーも、氏のHPでブラックアルマイトのプレートを用いる理由を述べておりますが、一部ですが、ボクも賛同します。
かつてより豊富な材料の中から、自分の納得するものを選んで仕上げていくということで良いように思います。もちろん、選んだ素材がエボナイトってのも当然アリですけどね。そうでないものを否定する必然性はないと思うわけです。


○作家の許されない言い訳(戒め)
ただ、どうしてもフライリールの場合は懐古趣味のような部分があり、それを良しとする傾向がある・・・・いや、そういった道具やスタイルで釣りを行うことが楽しみ方の一つになっていると言えるでしょう。実のところ、ボクもその一人であると言えますがね。確かに、今となっては、エボナイトの利用されるものといえば、万年筆や楽器程度しかなくなりましたので、あまり目には触れなくなってきています。
言い方を変えれば、その素材自体が珍しくなってきてはいると思います。貴重であるとか、ちょっと珍しい素材をふんだんに使ってあれば価値があるのか・・ボクはへそが曲がっているせいか、そうは思えません。ボクとしては、その素材を用いる必然性があるかどうかが重要だと考えます。そんなわけで、ハードラバーが機能的に優れているからリールに使われているのではなく、質感などの「雰囲気を持っているから」なのだと思うのです。そう考えていくと、ハードラバーやブラスなどの素材自体に価値があるとはとても思えないわけです。

ここからは個人的な問題になります。これは、ボクが自分の甘えを戒めるための事柄でもあるのですが・・・。作家の都合でいろいろ付加価値を付けるのはいかがかと思っています。加工が困難であるから貴重なんてのはどうでしょうかねえ~。設計なり、素材なりでそれを選んだのは作家自体なのです。加工しにくいとか手間がかかるとかの言い訳は、ユーザーには関係ないことですよね。

一番問題なのは、加工が大変だと嘆くのは良いですけど、もしかしたら、それに手間をかけているのは、世界中で自分だけかもしれないじゃあないですか。そんな状態だったら、加工が困難だから価値ありって言うのは・・・恥ずかしかもしれませんねえ。このへんは、是非とも人に言ってもらいたいですなあ~。

そんなわけで、ボクはあくまでも自己都合の泣き言と、この手の事柄については位置づけています。
残念ながら、泣き言はたくさんあります・・・・。

ということで、第3話につづく 

 

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リール作家のひとりごと  第1話 [読み物]

「最近のリールはさあ~」という思いが少なからずありまして、自分でリールを作成しているボクですが、少々毒をはいてみたいと思います。
なお、長文につき数回にわたって掲載させていただきます。

○ リール作るか
ボクの言うところの最近のリールとは、性能では文句はありません。ボクとしては、マシニングセンタで加工したであろうそのリール、そしてバレル研磨された梨地かつや消しの仕上げで、色合いはアルマイト時の染色で思いのまま・・・っていうのが、最近のリールではとても多いと思います。そして、加工コストを抑えるために、構成部品数は少ないというのも特徴ですね(これはある意味うらまやしい)。
少なくとも、クラシカルなタイプのリールは、手間がかかります。部品点数も多く、それに比例して加工の段取りも多くなります。こんな性質なので、コストを考えたら当然作りにくいカテゴリーになり、マスプロダクトメーカーさんで作成されることはないでしょうね。
ということで、かつての名作のリールを見るにつけ「欲しいなあ」という欲求を転化して「作りたいな~」ということにして10年経過することになりました。これまで歩いてきた道で思ったことを、一方的にご紹介してみたいと思います。

○ 「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」 松尾芭蕉
かつてのリールスミス達が残した名作を入手することは困難です。当然、世の中に出回っていないから作ってやろうと思うことは往々にしてあるでしょう。そんなわけで、ここで先人の残した作品をコピーすることについて考えて見たいと思います。コピーする理由には、習作であるとか、その雰囲気が欲しいとか、様々な理由で作る機会が必ずあると思うのです。
少し話がそれますが、このコピーするという行為を表す言葉ですが、日本語にはその程度の違いを示す言葉は多く存在しないのに対して、英語ではけっこうあったりします。
さて、正確に寸法を測り、同じような加工をすればコピーすることはできるのでしょうか?実際、海外では(duplicate:正確に同じ物を作るみたいな意味)したと公然と言っているリールも存在したりします。ボクも以前に習作として、著名な作家の作品を模して作ってみたことがあります。材料が異なるということもあるのですが、正直、「似ている」域を出ませんでした。さらに、メダリストのリムをアルミで新たに起こして取り付けてみたこともあるのですが、色を黒くしても、メダリストとは違うリールになってしまう。そんなわけで、ボクの経験上、コピーしたものは、本物とは根本的に違う部分があるのだと思うのです。


通常、工作機械で加工をするときには、制作者の都合や意図で、しっかりと寸法を追い込む部分と、逃げの部分が存在していて(がんじがらめだと加工できない)、逃げの部分では「てきとう」に作られているはずです。「てきとう」とは言っても、同一の意志によって仕上げられているので、雰囲気はそれなりのところへ収まります。細かいところで異なるものの、本物の雰囲気を出しているといった所でしょうか。
かたや、コピーする時には、その逃げの部分の考え方の相違や、加工のお行儀の良さなどの細かな違いがでてくるように思えます。 そして、その違いの蓄積が原因で、次第に本物ではない雰囲気を持つ品物になるのだと思うのです。たとえば、正確に寸法を採って、オリジナルは適当に加工している部分を厳密に加工したとしたら、オリジナルとはまったく違った意図の加工となってしまうのです。フリーハンドの部分などは、まさにその差が歴然とするところでしょう。

 第2話につづく

 

 

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はやぶさ [読み物]

 サッカー勝ちましたね。ボクはサッカーはまったく興味がないのですが、日本が、日本人ががんばっているのは、すごく気持ちが良いので「へーすごいじゃん!」ってな感じで静かに喜んでおります。

 さて、本日は、ちょっとさかのぼって「はやぶさ」のお話を・・。

年甲斐もなく、今回のこのニュースで感動して泣きそうになりました。
このプロジェクトに関わった技術屋さんは、どんなにかうれしかったことでしょう。
小惑星に着陸・帰還なんて「すげー計画だなあ~」と思っていましたが、いろいろあって・・・・・・
相次ぐトラブルで絶望視されていた帰還がかなったのですから。しかも「改造魔」的な布石が功を奏したなんて、できすぎとさえ思うところです。
ボクが幼少の頃、アメリカは月へ行きました。そして同時期、我が国はおもちゃのようなロケットを飛ばしていました。その差に愕然としたものですが、ここまできたのですねえ。
考えてみますと、敗戦で空モノの開発スタートはすごく遅かったでしょうから、そこからよくぞ、よくぞここまでと、ニュース映像を見て思ってしまったんですねえ。技術立国としての底力を見た感があります。


まったく畑違いではありますが、ボクも技術屋のはしくれなので、技術屋がチャレンジしてそれを成し遂げることがどういうことがよくわかっているつもりです。

技術屋のいうチャレンジとは、発想した時点では確実に「夢物語」です。それをトライして失敗して・・・改良して・・・そして、うまくいけば最終的に成し遂げる。これの繰り返しです。

ところが、その「夢物語」は現実になったとたん、つまり、新技術というものは、あっという間に輝きを失い、「あたりまえ」のことになります。得てして、有用な技術ほど、新技術として光り輝いている時間は短いように思えます。
たちまち、後発の技術によって磨かれ、完成度の高いものになっていくわけです。

 しかし、ここで重要なのは、なんでも一番最初にやったことであります。どこかで「2位じゃだめなのか」なんて見当違いなことを言った素人がいましたが、技術の世界では1番の人だけが特許をとれます。しかも基本的な。 まあ、2位以降はビケまでみんな同じってことですね。
技術開発というのは、金喰い虫です。技術屋も、大学を出てきたくらいでは使い物にならなので、一人前になるには金も時間もかかる。でも、技術開発しなければ、必ず沈んでいく・・・。

 ボクは日本という国がすごいと思うのは、日本語で研究することが容易で、行き着くところまで行けば、日本語でノーベル賞もとれるということです。
文系の方は気づかないかもしれませんが、これはすごいことなんです。だって、母国語で研究できるということは、研究者が多く存在できる、うらを返せば、日本は研究者がたくさんいるってことになるわけです。白衣を着ている人から、作業着の人までね。
で、この技術屋さんたちって、意外に表に出てこないんだよね~。こういう人たちが技術立国を支えているのではないでしょうかねえ。

 ボク的には、華々しい成果をあげつつある「はやぶさ」ですが、ここも事業仕分けとやらの対象になっていて、相当額の予算の削減を強いられたと記憶しています。大丈夫なんでしょうかねえ。
前記した「2位」の強弁した人も含めて、技術立国が「技術開発しない」っていっちゃだめだろ。と思いますです。

 苦しいときに、縮こまって様子を見ることは悪いことではありません。でも、縮こまったときに上を向いてないのは、次に伸び上がることはできません。
今、縮こまって下を向いているのではなかろうか・・・それとも・・・・
はやぶさ帰還を機に思うことなのであります。

 

 

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ショップへ行った [読み物]

 今日も寒かったねえ~。
いったいいつになったら春になるのかしら・・・。

さて、本日は野暮用ができてしまいまして、出かけなければなりませんでした。
そんで、いつもお世話になっているショップへ顔を出しました。

というのも、リールのケースを注文するためです。ボクはいままでリールとケースを一緒に納めたことがないんです。ある意味すごい納品のしかたなのですが、予備のネジやノブなんかと一緒に、チャック付きのポリ袋で納品していたんですね。もっとも、いままでの納品実績は、純粋なお客さんではなくて、どちからかというとブレインというか、モニターというか、いろいろと意見が聞けることから、まあ、その分を差し引いた価格でしたからねえ~。だから、裸に近い納品だったと言うわけです。

 さて、ケースについてですが、ボクが革細工をしてみようかと思ったこともあるんです。でも、そもそも、ボクはいわゆるレザークラフトについては素人です。当然、人に渡せるような品物であるはずもない。ボク的に、人様に渡すためには「修行」をして、安定した技術を身につけなくては納得できないんですよ。だって、Aさんには50点、かたやBさんには90点のできのケースが行くようなことがおきるわけです。代金を支払っていただいている以上、それは許されることではないですよね。
リールはともかく、ケースが不安定ではお話にならないし、ケースの修行をしていたのでは、ただでさえ少ない創作活動時間をさらに圧迫することは、本末転倒になってしまいます。

 そんなわけで、安定的な品質の製品を仕入れるのが得策になるわけです。実は、ボクの学生時代からの知り合いで、布の小物を作るのが得意なやつがいまして、彼女に「やっこい革で作って」とお願いしてみたのですが・・・砕け散っていましたです。腕は確かなんですがね、布と革はだいぶ勝手が違うみたい。まあ、今でも敗北感にさいなまれているようなので、悪いことをしたなと・・・。
 そんで、レザークラフトを積極的にやっている人と話をすると、正直、ボクのリールの価格設定だと、ケースとリールの値段があんまり変わらないようなレベルの物までできてしまいそうです。それにどうしてもその人も「作家」さんですから、自分の作品に自信があるでしょうからね、どうしても、ボクの作家としてのパーソナリティーと衝突しますわな。
 ということで、ショップでできあいのものを仕入れることにしました。これなら、価格的にも手頃ですし、品質は安定しているでしょうし、なによりボクが本来のリール創作活動に集中できますから。
ひとまず、革製のケースがあったので、2つのサイズを注文してみました。ところが・・・3個が最低単位なんだそうです。ということで、サンプルで十分なのに都合6個の発注となってしまいました。

いずれにしましても、レイズドピラーのリールは、ちょっと大きなケースが必要なことが多くて、今回のやつがうまくあってくれれば良いのですが・・・。これがダメなら、ネオプレーンのケースかなあ~。シムスかバズデザインか・・・。

で、このへんを済ませたボクですが、ショップのマスターにいろいろと今回作成のリールの助言をいただいてきました。そんで、貴重な品物を見せていただけまして・・・。いつもお世話になってますです。
おかげさまで、いろいろと勉強になります・・・。

 

 

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こんなの出てきた ~おぢさんの思い出~ [読み物]

 今日は二本立てです。

工房で、創作活動をしていて、ちょと捜し物をしていたところ、奥にセミダブルのグリップが隠れていまして、引っ張り出したらリールがついていましてね。
いつから行方不明だったのか定かではありませんが、きわめて懐かしいものだったので紹介しておきます。

 品物はリールなんですが、今回はベイトキャスティングリールになります。

IMGP0413.JPGIMGP0415.JPG
ダイワのミリオネアGS-3000Cであります。
たぶん、ボクが中学生の時に買ったと記憶しておりますので、ざっと30年経過しているわけですねえ~。と計算しましたら、妙に大事に扱いたくなりまして、これを機会に保存することにいたしました。
 ボクのこのミリオネアですが、当然、バスを釣るために使っていたものです。ボクの家は、近所の川にヤマメがいるようなところですから、当然普段使いされていたものとは違います。それでも、けっこうこいつはがんばってくれまして、そこそこ魚を釣り上げていたように思えます。ハンドルの径が思いのほか短いので、気をつけないとノブに手が当たるリールでしたねえ~。
主力で使っている時期もありましたし、アブのアンバサダーと2本持ち歩くことも多かったですから、まあ、普通に傷だらけでねえ~。同じ頃に買ったミッチェル308は、一応現役で、時々使ってますけど・・・・、部品は相当数交換してますかね~。それにくらべて、かなり丈夫なリールでして、逆転防止のカムを倣わせる板バネが摩耗したので作り直したくらいで、いまでも問題なく動きます。
 とはいえ、30年という輝かしい記念日を、工房の棚の隙間で過ごさせるのはしのびないので、これを機会に全部ばらして、ナイロンブラシを当ててきれいにしてやりました。
すでに、コレクションラックに収まっていますです。
余談ですが、ラインを外したとき、ちょっとだけびっくりしました。下巻きのすぐ上に、ストレーンとおぼしきラインがいました。白っぽい紫のやつ・・・さすがに黄色じゃあなかったけどね。
これがわかる人は「おじさん」に違いないのであります。
考えてみると、こういう類のものはたくさんあるので、「おぢさん」の情報として時々書いてみようかな・・・。
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技術屋という生き物 [読み物]

 ボクが今の仕事に入って駆け出しの頃、なにかとお世話になった方がいよいよ定年を迎えることになりました。その人は、すごく気さくな人でありましたが、実力はもうその道の大ベテランでして、ぴよぴよのくせに生意気だったボクにとっては、頼りになる人でもあり、おっかない人でもあったわけです。
 いままでも、ベテランの方が勇退されることは、当たり前にあったのですが、ぼちぼちボクとしては微妙な感情が出てくるようになりました。というのも、今までの方は、上司であって、大先輩であったのは変わらないのですが、それ以上の存在ではないのです。ところが、今回退職される方は、一緒に仕事をして、その時には少なくともボクを一人前扱いしてくれた人であるからです。なんといったら良いのでしょうか・・・仲間のようなところにいた人・・・いや、ボクが認められたことを自覚した時に仕事を一緒にした人ってことですかね。


 ボクが仕事をしている組織は、いわゆる技術屋の集団でして、ある意味自分の聖域を持っている人しかいません。まあ、パーソナリティーで仕事をしている面がかなりあるので、結果は同じになっても、やり方は人によって全然違うのです。そんなわけで、優秀なひよこちゃんが学生の勢いを持ち込んでも、たいてい現実の壁にぶち当たり、悩んだり苦しんだりするのですよ。でもそれは当然であって、それは「だれもが一度は通る道」くらいで片付けられてしまう職場なのです。ただ、おもしろいことに、この程度で烙印を押されるひよこはいませんで、わりと周りの人は寛大なんです。かつて自分もそうだったからだとは思うのですが・・・。この後が問われるんですけど・・・。

 いずれにしても、技術屋っていう生き物は、使えるようになるまで時間と金がかかるようになっているようです。まず、駆け出しのころは、威勢だけ良くて、実力がない。悲しいくらいにない。当然失敗するのですが、それをベテランがかるくフォローしてしまったりするから、自分の惨めさが際だってしまってねえ~。ええ、ボクもそうでした。悔しかったよなあ~。確実に「足手まとい」の自覚がありましたよ、当時はね。

まあ、パーソナリティーで仕事をするような技術屋っていうのは、古くからの言い方をすれば、「職人」の世界がそのように思えますが、近い物があるかもしれませんね。

なお、ボクもすっかり心臓に毛が生えたらしく、こんなことを書いていますが・・・
で、思うのですよ。若いやつらが、かつてのボクのように生意気な口をききます。なぜか妙に安心できるのです。生意気なことをさえずらない若者なんて・・・ねえ。

 こんなんですから、技術屋っていうのは、やっかいな生き物です。自分の聖域もっているから、そこに踏み込んで来るやつには容赦しません。上司に言いたいことを・・・そんなのは当たり前です。行方不明にもたびたびなります。ほとんどの場合が仕事を夢中でしてますから、周りの人はあんまり気にしてませんけどね。
ひどい場合には、テレビの報道番組とかに文句行ったりしてねえ。原稿読むとか、番組作るとかが仕事の人に、自分の専門的な分野の知識を持てとは言えないでしょう。ただ、テレビで放送したことは本当だと信じている人が多いのも問題ですがね・・。

 ちなみに、ボクはテレビに文句は言いません。あれはほとんど見ないのですよ。だって尻尾が生えてくるって、昔テレビで言ってた・・・(笑)

 

 

 

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とある本のご紹介 [読み物]

 今日は、ひとつ本をご紹介しながら、好きなことを書いてみたいと思います。

 フライリールを作成するために、いろんな資料なりを集めてきたわけですが、それを読み進めるにつれ、フライリールというジャンルは決して独立しているわけではないとボクは思うようになりました。
実際、フライリールが独自に進化してきたとは言えない部分が少なからずあって、どうやら、ベイトリールやスピニングリールの発展と同時進行してきたように感じるのです。ただ、フライリールはその機能はその他のキャスティングリールに比較すると単純で、100年前から機能的な発展はないので「イノベーション」というわけではなく、特にデザインなどが時代の流れとともに変わってきたと思えるのです。そんなわけで、ボクは、その本や資料がフライリールに特化していなくても、おもしろそうなら手に入れるように心がけていまして、そんなおり、和書でおもしろそうなモノを見つけました。

これです。

IMGbook.jpg
ベールアームは世界を回る
國安昌秀 著 つり人社 

実は、この本、アマゾンで送料を無料にしたくて、なにか他にないかと探していたところ、ふと目に飛び込んできた本です。多少釣りをする方なら、ベールアームと聞いて、スピニングリールを連想しますし、そういった本にフライリールのことなんて・・・と思うのではないでしょうか。
もっとも、ボクはリールフェチなので、あんまり関係ないかもしれませんが・・・。


 ボクは、この表紙を見て、中身はともかく思わず買ってしまいました。なぜか、後悔しない確信みたいなものさえ感じておりましてねえ~。

 ボクがいきなり食いついた理由ですが、この表紙の写真にあります。これは、今のスピニングリールの原型となったといわれている「イリングワース」でして、リール関係の書籍には必ずといって良いほどその記述があります。そして、このイリングワースは、ぱっと見、フライリールみたいな風貌なんですよ。言い方を変えると、「でべそのフライリール」みたいなんです。そのため、ボクにとっては良く眺めてしまう機会の多かったリールですね。

 さて、改めて本の紹介です。 えー、結論からいいます。リールに興味のある人は、とりあえず買っておくことをおすすめします。この内容で2,000円なら、決して高い買い物ではないと思います。
 なお、コレクション物の書籍にありがちな、「これが最高」、「これがすごい」的な個を紹介するものとは確実に異なる本です。 おそらくは筆者の知識、取材力の現れなのでしょう、まさに帯にかかれた通りの本で、「スピニングリールを中心とした、釣り(特にリールに関わる)の歴史」を語ってくれます。こういった時代背景で、その時何が起きて、これが生まれ、そしてどう変化していったかというのが、多次元で語られています。ちょっとした歴史物語ですわね。登場人物がよくわかっているアングラーには、おもしろい内容だと思います。なお、ボクのような世代のおじさんアングラーは、後半に記述される部分にヒットしまくって、非常に楽しめました。

 さて、この本はスピニングリールの記述が主なことは言うまでもありませんが、それを語るための時代背景として、糸巻きであった時代から、フライリールのハーディーや、ボンホフ、メイセルバック(綴りが間違ってましたねえ)なども登場します。当然、アメリカで発展したベイトキャスティングリールも然りです。記述はそう多くありませんが、美しい写真と、ならではのコメントで十分参考になりますです。

 日本のスピニングリールの記述もありまして、ボクとしてはダイヤモンドが登場してくれてちょっとうれしかったです。若かりしころのボクはずいぶんと使いました。まあ、日本製のアメリカンリールてやつですね。
 日本人というやつは、まったく恐ろしい国民性だと思います。この本に書かれているように、当時はコピーから始まって、そのうちに技術を自分の物として世界に冠たる物にしてしまうのですから。なんでも、種子島に渡った鉄砲を、たちまち量産してしまったのだそうですから。なにしろネジまで作ってしまったらしいですからね。そのころから日本人の鍛冶屋は・・・まあ、国民性ってやつですかね。
いずれにしても、大戦後のわずかな期間だけ、当時のタックルメーカーがおおらかだったとしか言いようがないですね。 

 とりあえず、「この本は買っとけ!」 ということですなあ。強くおすすめします。

そうそう、言い忘れましたが、基本的にカラーの本です。これだけ写真がきれいなら、もっと大版の本でも良かったのにねえ~。倍出してもいいぞ。

なお、ボクもルアーの道具立ては現存してまして、時々管理釣り場で放ったりしてますが・・・リールは、ミッチェル308なんだなあ。

 

 

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工場見学 [読み物]

 この土日での加工はほとんど進んでいない状態であります。
このところ良いペースだったので、残念ですが、まあ仕方ないですね。次に期待しましょう。

 で、本日はフライリールの工場見学とまいりましょう。
ボクの工場は、いわゆる極小・零細・個人の工房ですんで、たいしたものはありません。4.5尺の旋盤と、小さいフライス盤と、ボール盤が2つ、あとは帯鋸とハンドプレス、サンドブラストくらいのしかないでので、「こうじょう」と読むのはおこがましくて「こうば」と呼んでます。
1595653.jpg
我がこうばの最大の工作機械でありまして、これからご紹介する工場とは比べものにならないほどみすぼらしい状態なのであります。

 なお、これらは、ボクがYou Tubeで見つけたものでありまして、多少興味のある方はどうぞご覧ください。

○STHの工場


ボクも一つ持っているSTHですが、ボクのこうばに一番近いですかねえ(笑)ともあれ、それでもマシニング加工はしてますね。当然といえば当然ですが・・・。でもさすがラテンですなあ、けっこう品物を投げてます・・・
かつて、ボクはアルゼンチンに行く機会があって(もう10年も前ですが)、なぜか生産国であるアルゼンチンで、見ることができなかったんですよねえ。STH。とはいえ、このリール、すごく丈夫であります。

 

○バウアーの工場

 ボクはここの製品も持っていないので、よくわかりませんが、そこそこ工程をのぞきみすることができます。
最近のラージアーバーのリールは、肉が薄いので、やっぱりパーフォレートの加工では、マシニングが必須ですなあ。 山崎マザックががんばってます。

○ロス リールの工場


映像が撮影用のものであるにおいがプンプンしますけど・・かなり良く紹介してくれていると思います。というのも、少々首をかしげるところもあるので。わかりやすいところでは、箱詰めしているおねえちゃんが指輪をしてるし、素手でさわってるし・・
 ボクが参考になったのは、バレル研磨しているシーンです。あんなでっかいメディアを使っているとはねえ・・・勉強になりました。

 いずれにしても、ボクは組み立て前にパーツを脱脂して、それ以降は手袋をして指紋を付けないように気を遣っているんですが・・・みんなラフなのね。本当なら。
バンブーロッドビルダーの方では、塗装の時に、ホコリがつかないよう裸になる人さえいるというのに・・・こういう気の遣いかたって日本人ならではなんでしょうかねえ。ボクは、こういう気遣いはあるほうが素敵だと思ってますです。

 

 

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パーツのお話 [読み物]

 筋肉痛です。今シーズンで初の本格的除雪のため、しっかり筋肉痛になってしまいました。
まあ、翌日に出たということで、よしとしましょう。下手をすれば数日後って・・・・。失礼。

さて、今回はパーツのお話をしたいと思います。
フライリールの場合、リールとしてはかなり単純な品物ではあるのですが、その部品点数は、4~50点にもなることはめずらしくありません。そんなわけで、ボクはよく使う品物をすぐだせるように小さな引き出しのパーツボックスにしまっています。
IMGP0308.JPG
このパーツボックスの下段のほうは、すべてがリールにつかうパーツが納められております。引き出しの数は60個。そのほとんどがすでにパーツが入っていて、空いているのは2カ所くらいです。
ここに入っているのは、ハンドルやバランサー、ピラー、カム、スプリング、などのパーツが1/3程度、そしてそのほかは、ほとんどがネジが収まっています。ラベルが貼ってあるのは、頻繁に使うパーツや紛らわしいものです。

 このネジに関しては、実のところ物語がありまして、正直現在のように入手するのは簡単ではありませんでした。フライリールの「雰囲気」として、ネジはスリ割り(マイナスの頭)であることが必要です。しかし、スリ割りネジはすでに希少な存在で、簡単には入手できない状況でした。こんな状況ですから、自分で作るのがもっとも近道であったわけです。そういうわけで、ボクのリールの初期のものには、自分で旋盤で挽いたネジが使ってあります。

 しかし、自分で作ったネジというのは、自分の希望する形状ができるので、デザインを決めることには役だったものの、えらくコストが高いのです。それに小さいパーツなのですが、かなり手間がかかってしまいます。ネジを作るより、リール本体に取り組みたいということもあり、少数でも対応してもらえる外注先を探していました。当時、二日月堂さんと密に情報交換をしていたということもあり、彼のつてもあり、二人で挽きもののネジを入手したのですが、価格的には厳しい状況でした。

 そんな状況を打破することになったのが、埼玉の浅井製作所さんとの出会いでした。浅井さんのところはヘッダー加工でネジを作るので、そもそも大量生産するのが得意な工場なのです。
それでも、ダメもとで問い合わせて見たところ「なんとかなる」というお返事をいただけました。そして、ボクがこんな形状(デザイン)とお願いした形状での生産をしていただけるということでした。ただし、型をおこすことになるとのことで、その分コストがかかります。同時にたくさんネジを作れば、型のコストを下げられるとも言えるので、交流のあったアマチュアのリール作家さんやバンブーロッドビルダーのみなさんに声をかけ、みなさんに協力してもらいました。おかげさまで、本数がまとまったので、1本十円ちょっとと破格で作ることができました。
 浅井さんにはわがままを聞いていただいて、まるで存在していなかったネジを世に生み出してもらって、リール作りもずいぶんと楽になりましたです。ただ、ちょっと失敗したのは、ボクがネット上で声をかけたので、昨日まで見つからなかったネジが、全国に供給されてしまったことですかねえ~。それと、そのネジがボクの好みの姿で作られているということ・・・。ご容赦。

 

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